ジャカルタのふろしき。

新卒でインドネシアはジャカルタに流れ着いて2年。日々生活で感じたこと、海外から日本を見て 思ったことなどを綴るブログ。最近JKT48にハマったため、関連の話題多めでお送りしてます。

 ジャカルタに来てから読んだ本

題名の通りジャカルタに来てから読んだ本のメモ。
順番はわからないし、忘れてしまったものもあるので、自分の部屋に残っている本やノートのメモを参考にしながら追記していく。ムックは含み、限りなくなるので雑誌は含まない。
作品名の左にある数字は(「ブレイクスルー感」>「好み」>「ドライブ感」)などを総合的に点数にしたもの。5が満点の予定。(いまのところ4、8が最高点。2013年3月7日)

点数は読んだ時のコンディションに大きく左右されるので、二回目にとても刺さる場合や、二回目にとても落胆させられるということも多い。不定期に訪れる「物語に飢えている状態」のときに読んだものは点数が高くなりがち。読んだ感想などを書いていくためにも随時追記していく。

【10】
4   ボーンコレクター(文庫上下)ジェフリー•ディーバー
4、5 ミレニアム1(文庫上下)スティーグ•ラーソン ハヤカワ文庫
4、2 ミレニアム2 火と戯れる女(文庫上下)スティーグ•ラーソン ハヤカワ文庫
4、2 ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(文庫上下)スティーグ•ラーソン ハヤカワ文庫
3、5 容疑者xの献身 東野圭吾
3   片思い 東野圭吾
3   探偵ガリレオ 東野圭吾
3   予知夢 東野圭吾
3   ガリレオの苦悩 東野圭吾
3、2 どちらかが彼女を殺した 東野圭吾
【20】
2、8 名探偵の掟 東野圭吾
2、5 名探偵の呪縛 東野圭吾
3、8 白夜行 東野圭吾
2、8 ダイイング•アイ 東野圭吾
2、5 あの頃ぼくらはアホでした 東野圭吾
2、8 阿修羅ガール 舞城王太郎
3   風邪の歌を聴け 村上春樹
3、8 1978年のピンボール 村上春樹
4、5 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド(文庫上下)村上春樹
3、5 ノルウェイの森(文庫上下)村上春樹
【30】
3、5 ダンス•ダンス•ダンス(文庫上下)村上春樹
3、2 国境の南、太陽の西 村上春樹
4、2 ねじまき鳥クロニクル(文庫上中下) 村上春樹
3、8 スプートニクの恋人 村上春樹
4   海辺のカフカ(文庫上中下) 村上春樹
3   アフターダーク 村上春樹
3、8 回転木馬のデッドヒート 村上春樹
3、2 東京奇譚集 村上春樹
3、2 神の子どもたちはみな踊る 村上春樹
2、5 走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹
【40】
3、5 やがて哀しき外国語 村上春樹
3、8 自壊する帝国 佐藤優
3、5 私のマルクス 佐藤優
3   国家と人生 肝要と多元主義が世界を変える 佐藤優
3、5 波の上の魔術師
4、2 ナインストーリーズ 
4、2 あなたに似た誰か ロアルド•ダール
3、5 チームバチスタの栄光(文庫上下) 海堂尊
3   ナイチンゲールの沈黙(文庫上下) 海堂尊
3   ジェネラルルージュの凱旋(文庫上下) 海堂尊
【50】
3   ジェネラルルージュの伝説 海堂尊
3、5 イノセントゲリラの祝祭 海堂尊
3   アリアドネの弾丸 海堂尊
2、8 ケルベロスの肖像 海堂尊
3   ブラックペアン1988 海堂尊
3   極北クレイマー(文庫上下) 海堂尊
3   極北ラプソディ(文庫上下)海堂尊
3、2 螺鈿迷宮(文庫上下)海堂尊
③   夢見る黄金地球儀 海堂尊
3、5 ジーンワルツ 海堂尊
【60】
③   ひかりの剣 海堂尊
4、8 米原万里の「愛の法則」 米原万里
4、5 打ちのめされるようなすごい本 米原万里
3、5 わたしの外国語学習法 - 独学で外国語を身につけようとしている人のために ロンブ•カトー著 米原万里訳 ちくま学芸文庫
3、5 シングルモルトウイスキー 銘酒辞典
3、8 OUT(文庫上下)桐野夏生
3   アンボスムンドス 桐野夏生
4   ベイジン(文庫上下) 真山仁
3、5 ハゲタカ(文庫上下)真山仁
3   採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか? マルコムグラッドウェル THE NEW YORKER傑作選3
【70】
4、2 マネー•ボール マイケル•ルイス
2、5 推理小説常習犯 ミステリー作家への13階段+おまけ 森雅裕 講談社+α文庫
3、2 経済ってそういうことだったのか会議 佐藤雅彦竹中平蔵 日本経済新聞社出版社
3   ソニーをダメにした「普通」という病 横田宏信 ゴマブックス
2、5 中国人は本当にそんなに日本人が嫌いなのか 加藤嘉一 ディスカバー21
3   エッセイを書きたいあなたに 木村治美 文春文庫
2、5 日本はアニメで再興する クルマと家電が外資を稼ぐ時代は終わった 櫻井孝昌 アスキー新書
2、5 アメリカ嫌い 灰谷健次郎 角川文庫
3   超•殺人事件 東野圭吾 新潮文庫
3   手と目と声と 灰谷健次郎 角川文庫
【80】
4   向日葵の咲かない夏 道尾秀介 新潮文庫
3、5 涼宮ハルヒの驚愕 谷川流 角川スニーカー文庫
4、2 虐殺器官 伊藤計劃 ハヤカワ文庫
4、2 ハーモニー  伊藤計劃 ハヤカワ文庫
4、2 1Q84 村上春樹 (Book1,3は単行本 Book2は文庫版上下)
4、2 海と毒薬 遠藤周作 新潮文庫
4、5 シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ 田丸公美子
4、5 「世間」とは何か 阿部謹也 講談社現代新書
3、8 わが友 本田宗一郎 新潮文庫
3   必笑小噺のテクニック 米原万里 集英社新書
【90】
2、8 レイクサイド 東野圭吾 文春文庫
3   キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクライスト』 適菜収訳
2、8 となり町戦争 三崎亜記 集英社文庫
3、8 手紙 東野圭吾 文庫
2、8 毒笑小説 東野圭吾 集英社文庫
3   日本近代文学の名作 吉本隆明 新潮文庫
2、8 THE QUIZ 椙本孝思 アルファポリス文庫
3   ココ•シャネルの「ネットワーク」戦略 西口敏宏 祥伝社黄金文庫
3   超一流じゃなくても「成功」できる 長谷川滋利 新潮社
3   歴史は「べき乗」で動く マーク•ブキャナン ハヤカワ文庫
【100】
3、5 ボクの音楽武者修行 小沢征爾 新潮文庫 (マリアからのお土産)
3   星の王子様 (マリアからのお土産)
3   文体とパスの精度 村上龍 中田英寿 集英社文庫
3、5 女脳文学特講 山下聖美 三省堂
3、2 希望の国エクソダス 村上龍 文庫
3、2 ブレイズメス1990 海堂尊 講談社文庫
3   スカイ・クロラ The Sky Crawlers
4   『森博嗣の道具箱 The Spirits of Tools』
3   100人の森博嗣 100 MORI Hiroshies
4、2 森博嗣ミステリィ工作室 Mori's Mystery Workshop メディアファクトリー
【110】
3、5 憂鬱でなければ仕事じゃない 見城徹 藤田晋 講談社
4   戦争の世紀を超えて その場所で語られるべき戦争の記憶がある 姜尚中 森達也
3、2 若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? 35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座 森川友義 ディスカバー携書
4   だれかを犠牲にする経済は、もういらない 原丈人 金児昭 ウェッジ
3、5 絶対貧困 世界リアル貧困講義 石井光太
2、5 人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ 河出文庫
3、5 サクリファイス 近藤史恵
3、8 ぼくは勉強ができない 山田詠美
2、8 イマジン•ノート 槇村さとる
3、2 永遠のとなり 白石一文
【120】
2、5 僕の中のまだ壊れていない部分 白石一文
3、8 流星ワゴン 重松清
4   夜は短し歩けよ乙女 
3、2 インシテミル
3、5 蛍•納屋を燃やす•他 村上春樹
3、5 重力ピエロ 
2、8 マークスの山 
3   メイクミー•シック 山田詠美
3   天才アラーキー 写真ノ方法
4   仏教が好き! 
【130】
3、2 風味絶佳 山田詠美
3、2 かもめのジョナサン リチャード•バック
3、5 少し変わった子あります 森博嗣
3、8 霧越邸殺人事件 綾辻行人
3、5 何者でもない 原田宗典
3、5 日本語の作法 外山 滋比古
3   インパラの朝 中村安希
4、5 何故僕はドキュメンタリーを撮るのか 想田和弘
3、8 職業欄はエスパー 森達也
2、8 ネット選挙革命 三浦博史
【140】
2、8 ベッドタイムアイズ 山田詠美
2、8 大学の話をしましょうか 〜最高学府のデバイスのポテンシャル 森博嗣
2   行動主義 レム•コールハースドキュメント
2、5 シルエット 島本理生
4、5 CAPETA 1〜28巻 曽田正人
3、8 Do Da Dancin'! 1〜9巻 
3、5 虚像の砦 真山仁
3、5 武器としての決断思考 瀧本哲史 星海社
4、2 逆立ち日本人論 養老孟司 内田樹 新潮選書
2、8 最新選挙立候補マニュアル 選挙参謀はいりません 三浦博史 ビジネス社
【150】
4   夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997−2011 文春文庫
2、8 サマンサタバサ 世界ブランドをつくる 寺田和正著 日本経済新聞出版社
4   印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ
4   何度も読みたい広告コピー PIEインターナショナル
3、2 インザプール 奥田 英朗著
2、5 町長選挙 奥田 英朗著
3、8 スリジエセンター1991 海堂尊
2   世界から猫が消えたなら 川村元気
3、5 阪急電車 有川浩
3   図書館戦争 有川浩
【160】
4、5 風姿花伝 世阿弥 岩波文庫
3、2 ビブリア古書堂の事件手帖  三上延 メディアワークス
3   ビブリア古書堂の事件手帖2  三上延 メディアワークス
3、2 ビブリア古書堂の事件手帖3  三上延 メディアワークス
3、8 マッシュ〜時代より熱く〜 山田貴敏 小学館 全11巻
4、5 アンドロイドは電気羊の夢を見るか フィリップ•k•ディック
4   世界一のプロ•ゲーマーの「仕事術」勝ち続ける意志力 梅原大吾
3   隅田川のエジソン 坂口恭平
3   1000年後に生き残るための青春小説講座 佐藤友哉
4   ポー名作集 中公文庫
【170】
2、8 一度も植民地になったことがない日本 デュラン•れい子
2、8 写真がもっと好きになる 菅原一剛
3、2 アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか 佐藤唯
3、5 10年後に食える仕事 食えない仕事 渡邉正裕
3、8 植物図鑑 有川 浩 
3   プリンセストヨトミ 万城目学 文春文庫
2、8 クマのプーさんの哲学 J・T・ウィリアムズ 河出文庫
3、8 ヴェニスの商人
3   親日指数世界一の国!インドネシアが選ばれるのには理由がある 茂木正朗
4、2 「有名人になる」ということ 勝間和代 ディスカバー携書
【180】
3、5 社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた 小暮真久 ダイアモンド社
3   これからの広告人へ 笠松良彦 アスキー新書
3、5 舟を編む 三浦 しをん 光文社
4、2 何者 朝井リョウ 新潮社
4、2 銀の匙(1〜6巻) 荒川弘 小学館(週刊少年サンデー
3、8 ちはやふる(15〜19巻)末次由紀 講談社(BE LOVE KC)
4、2 昴 曽田正人 小学館(ビッグコミックスピリッツ
3、5 MOON -昴 ソリチュード スタンディング- 曽田正人 小学館(ビッグコミックスピリッツ
3、8 ビブリア古書堂の事件手帖4  三上延 メディアワークス
3、5 AKB48 東京ドームコンサートオフィシャルムック「AKB48 in TOKYO DOME 1830mの夢」文芸春秋
【190】

TOEFLのすすめ - 能動的思考力が問われる試験

 TOEFLを受ける事(もしくはTOEFLで高得点をとる訓練をすること)で身に付スキルがある。スキルというより姿勢と言った方が正しいだろうか。それは「どんなに拙くとも、自分の意見をもち、その意見をある程度整理して形にする」技術だ。これはTOIECなどで計られる単語力だとかリスニング力なんかとは比べようもないくらい必要なもの。異文化と接する際に最も必要な姿勢と言っていい。長くなるけどそんなことを書いてみたい。

 大学生のときに米国留学をしたいと思っていた時期があって、TOEFLの試験を数回受けた。始めて受けた日の衝撃を憶えているわけではないが、スコアは今でも憶えている。IBT120点満点のうち、23だった。どちらかといえば英語は得意だと思っていたので(受験英語レベルの話)少しショックだった。

 その後英会話スクールに通い、少し訓練した後に受けてみるとスコアが三倍以上になった(確か70くらいだったと記憶しているが、細かい数字は憶えていない)。まあ元が低い点数なので全く胸を張れる点数ではない。

 正直、意思が弱いことにかけては自負があるので、継続的に訓練できたわけではない。そのため、リスニング力や読解力、及び単語力も上がってはいなかった。にも拘らずスコアが三倍になった。それには理由がある。

どんなに拙くとも、自分の意見をもつ。
その考えた事をある程度整理して形にする。

 この二つのことが最低限できるようになったのだ。この二つのことの重要さを説明するために、TOEFLの説明を少しする必要がある。

 TOEFLには四つのセクションがある。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの各セクションが30点満点で、合わせて120点が満点。リーディングとリスニングは説明するべくも無く、ただただ試験を受けていればいい。設問のテーマがアカデミックな要素強のため(学部留学用の試験なので当たり前)聞き慣れない単語が多い他は、日本人にとってもなじみのあるスタイルの筆記試験だ。

 ところがスピーキングとライティングでは、少々勝手が違う。正解や不正解はなく、自分の意見を求められるのだ。ただ受け身で試験を受けているわけにはいかない。ここで多くに日本人がつまづくと思う。ぼくも例に漏れずそうだった。何かを与えられ、何らかの基準に沿ってその正誤を判断する。それに慣れて来た人々にとって、何の基準もない質問に答えるというのは意外と、そしてとても難しいのだ。大学までとりあえず何も考えずに来た人が、急に自分の人生を考える必要が出て困るのに少し似ている。

 試験によって問題は様々だが、場合によっては本当にしょうもない設問もある。
例えば「あなたの好きな休日は何ですか」「あなたが合いたいと思う有名人は誰ですか」などがそれだ。「だから何だよ」というような設問に答える必要があるのだが、そんなこと考えた事もないし、、とかやってるうちに制限時間終了。しょうもなかろうが、答えられないのは意見がないという事。0点だ。
最初は、そんなことに答えられなくてもいいだろう、と思った。しかし、くだらない質問にも答えることができないのに、重要な質問があったときに理路整然と自分の意見を述べることができるだろうか。それは難しいだろう。

 ぼくの受験時にはなかったが、「なぜ虐待をしてはいけないか」「なぜ人を殺しては行けないか」「拳銃を合法とする事の是非」なども設問としては十分あり得るだろう。日本的なテストであれば、「教科書に書いてある、虐待をしてはいけない理由もしくは認定用件を憶えて、試験で聞かれる」とかそんな感じだろうか。「そんなの当たり前だろ」で済まされるかもしれないことを、ゼロから説明する必要がある。どんなに拙く、"当たり前"な意見だとしても、常に前提はない。憶えた事をただ吐き出すのではなく、自分の意見を表明する必要がある。そしてそれは多くのコンテクストを共有し、多くの情報を"常識"や"当たり前"と処理することのある日本人には難しいことだ。

 様々な民族が入り乱れる米国では、コンテクストを共有できる相手が限られる。常に自分とは全く違う文化の人々と相対することを想定する必要がある。「どんなにくだらない質問でも、どんなに高尚な命題でも、質問としては等価であり、端的に答える必要があり、答えられない場合は意見がないと見なされる」。そんな精神が反映された試験であり、なるほど日本人には難しい試験である。

 ここで「どんなに拙くとも、自分の意見をもつ」「その考えた事をある程度整理して形にする」この二つが必要となるのだ。変な答えをしてしまったら恥ずかしい、と躊躇してしまったら先には進めない。意見がないのが最も恥ずかしい事だ。質は問わず、自分の意見を持つ事が最初のステップだ。

 では次のステップ、整理して他人に伝えるためにはどうすればいいのか。様々な方法があるだろうが、ぼくが選んだやり方はこうだ。最初に結論を述べ、簡潔に三つの理由を述べる(いくつでもいいのだけれど、三つが一番しっくり来るし、試験対策としては無難)。こんな感じ。

【結論とその理由を簡潔に】
【理由1】
【理由2】
【理由3】
【再度、結論とその理由を簡潔に】

慣れてしまえば極めて単純な話だが、この型をもっているのと、いないとでは大違い。これができるようになればどんなに低くとも点数がつく。意見を表明できる。でも、これができないと、一生0点のまま。0点というのはどういう事かというと、コミュニケーションが成立しない。自分の意見を言えないのだから当然だ。

 英会話能力の十分な人の中にも、英語ができないと思い込んでいる人々が少なからずいるのだと思う。そのようなケースでは「自分の意見を持つ事ができない」「その意見を端的に説明することができない」の二点に集約される。逆に言うとこの二点において不十分であれば、どれだけリスニングや発音の訓練をしても、コミュニケーションをとることはできない。

 近頃「英会話力よりも、自国の文化などの教養を深める必要がある」。こんな言説を目にすることが増えた。グローバル化によって「英語って勉強した方がいいよね」という圧力が高まり、英語を勉強したくない人にとって優しい言説であるこの手の本がそこそこ部数をのばしているのだと思う。これには一理あるけれども、どんなに知識や教養を身につけても、相手に伝えることができなければ、それは存在しないことになってしまう。
 
 ぼくは留学経験があるわけではなく、海外旅行もほとんどした事がない。それでも現在、様々な国の人とまがりなりにも英語でコミュニケーションをとることができる。それにはTOEFLを受けるにあたって身につけた「どんなに拙くとも、自分の意見をもつ」「その考えた事をある程度整理して形にする」姿勢が役に立っているのかもしれない。

 リスニングとか単語とか、訓練してるのにコミュニケーションに結びつかない人がもしいれば、TOEFL受けてみると、その理由が分かるかもしれない。「どんなに拙くとも、自分の意見をもつ」「その考えた事をある程度整理して形にする」姿勢を身につければすぐに「いわゆる英語ペラペラ」になれるはず。

「若い頃の苦労」を強要するおっさんは無能なので無視してよし

こちらのエントリを読んで思った事。 「苦労」は過大評価されている

このエントリを要約すると、以下の通りになる。

『「若い時に自分が苦労したことなので、相手も同じ苦労をすればいい」という考えでは何ら進歩がなく、「自分が苦労したことで、後の世代を苦労させない」という姿勢を持たないおっさんは身勝手。自分が苦労したことで、もう誰も苦労しないような、そんな仕組みづくりを心がけるべきであり、後輩に同じ苦労を強要するのは良くない』。

さてこの要約が合っているとすると、このエントリはクリティカルではない。
「自分が苦労したことで、もう誰も苦労しないような、そんな仕組みづくりを心がけるべき」というのがメインの主張であり、この意見はもっともである。しかし、そうだったらいいよねというレベルの話であり、結局のところ、べき論であって理想論。

もっとわかりやすい、「若い頃の苦労を強要するおっさんは無能なので無視してよい」理由がある。それは終身雇用制と年功序列+定期昇給という制度が崩壊し始めているという事実の一点に尽きる。

終身雇用制、年功序列+定期昇給のコンボが確定している場合、若い間にどんなに苦労をしようとも、年齢を経るにつれ、役職と給料は上がっていくという暗黙の了解があった。つまりどんなに苦労しても、報われる保証があったのだ。その枠組みの中では「自分も新人時代はこういう苦労をしたから、お前らもやるべき」という無能な先輩からの押し付けにも耐えられる。

ところが、終身雇用制と年功序列+定期昇給という制度が崩壊し始めている場合、必ずしも報われる可能性のない、もはやその可能性の低い「若い頃の苦労」を耐える誘因が何処に存在するだろうか。

「苦労」というのがマジックワード化しており、意味が広すぎるので非常に都合の良い使われ方をしている。終身雇用制と年功序列+定期昇給という制度がまだまだ現存する大企業もしくは優良企業以外で、「若い頃の苦労」を強要してくる先輩がいる場合、完全に無視する事を推奨する。

もちろん苦労全般を否定するわけではない。体力的にも、人生の残された時間という観点からも、若い頃だからできる挑戦は多い。例えば、ぼくは現在海外で現地採用として働いていて、駐在員と比べれば「苦労」と呼んでも差し支えない生活をしている(詳しくは こちら をご覧下さい)。しかし、高級マンションではなく、路地裏に生活するからこそ見えてくる風景や実感がある。この生活は今後の僕の人生の財産となるはずだ。

それでも 「若い時に自分が苦労したことなので、相手も同じ苦労をすればいい」という理由のみで若い頃の苦労を強要してくるおっさんは100%無能なので無視してよし。このパラダイムシフトを俯瞰する事もできない無能な先輩だ。それが会社のカラーなのであればブラック企業確定なので、さっさと見限らないと、命の危険にまで及ぶ危険性がある。信頼できるどなたかに相談されたし。命より大事な苦労なんか何処にもないよ。ほんとに。

POSSEという労働相談を行うNPOもあります。
http://www.npoposse.jp/

世界最悪の渋滞 - 大雨+新車販売台数増加=近年最大の大渋滞

 インドネシアでは毎年10月後半から4月前半にかけて降水量が圧倒的に増える、雨期が来る。インドネシアでは5年に一度大洪水が起こると言われている。2002年、2007年と来たので、2012年の1月あたり危ないと言われていたが、今年はこなかったのでそろそろまた大洪水が起こるのではないかと考えられている。(もちろん中規模の洪水はところどころでおこっている)。
 そんな中、先週末、21日、22日、23日のこと。集中的豪雨が発生し、自動車増加によってひどくなっている渋滞が、さらにひどいものとなった。身の回りにいるインドネシアに住んで長い人々も認める、近年最大級の渋滞であった。
雨の規模自体は五年に一度の大洪水に及ぶべくもないが、近年急激に増加している自動車数の増加に伴う道路の渋滞状況が影響し、大渋滞を引き起こした形となった。

弊社じゃかるた新聞を含むインドネシアの各新聞が、この渋滞を報じた。以下その写真と記事をアップする。


じゃかるた新聞/12月22日(土)8面


KOMPAS/12月22日(土)一面
金曜日の大渋滞の様子。一台の車が中央分離帯を乗り越えていく様子を映した写真。こんなのありかよ、と思うけどありえないことが結構頻繁に起こるのがインドネシアクオリティ。


KONTAN/12月22日(土)一面
上のKOMPASと同じ場面を撮ったのかと思いきや、よく見ると違う車。つまり、一日に何回も同じことが起こっているということだ。


RAKYAT MERDEKA/12月22日(土)一面
反対車線ががらがらなのに、南に向かう車線が完全に麻痺している。帰宅ラッシュ+雨の最悪コンボ。


JAKARTA RAYA/12月22日(土)一面
帰宅ラッシュが暗くなるまで続いた。


じゃかるた新聞/12月24日(月)1面
土曜日に降った大雨の様子。この日は事務所で作業をしていて、夕方頃に帰ろうとしたところ、事務所ビルの前がにわかに洪水状態になっていて、しばらく帰れなかった。


KORAN TENPO/12月23日(日)一面
上の写真に続き、土曜日に降った大雨の様子。


INDOPOS/12月23日(日)一面
上の写真に続き、土曜日に降った大雨の様子。


 本来は雨期でもスコールのような強い雨が降り、短時間でやむ。ところがここ最近の雨は強い雨が長く降る傾向にあり、これが洪水に繋がるのかなという気がしている。
 大雨が降らなくても渋滞は日に日にひどくなっている。この渋滞に愚痴りたくなる気持ちもあるが、この渋滞を引き起こしている自動車販売数増加のうち9割以上は日本車だ。インドネシアで働く日本人のうち、多くを占めるのが大手二輪四輪メーカーとその下請け産業だ。そしてじゃかるた新聞を含む、その日本人向けのサービス業。つまりインドネシア人が日本車を買ってくれるから飯を食えている人たちが多いので、公然と文句を言うのははばかられる。
 が、それにしてもひどい渋滞。早く鉄道やモノレールの完成しないかな。

インドネシア最古のジャズフェスティバルいってきた

先日11月25日(日)、国内で最も歴史があるジャズ音楽祭「第35回ジャズ・ゴーズ・トゥ・キャンパス」に行って来た。
会場はインドネシア大学(日本で言う東大)の経済学部棟。敷地がめちゃめちゃ広いので、学部ひとつの広さでフェスができてしまう。郊外にあるのでタクシー代をけちって電車で移動。タクシーだと15万ルピア(1400円くらい)ほどかかるところが8000ルピア(80円くらい)で済んだ。

「世界の宗教をざっくり理解する/新潮新書/島田 裕巳著」を読みながら最寄りの駅で電車を待つも、待てども来ない。タクシーで行くべきだったかと少し後悔するも、電車に乗ってみれば30分足らずで到着。しかも会場の大学の近くはめちゃめちゃ混んでたので結果的には大正解。

家を出たのが3時半過ぎで、会場に着いたのは夕方5時。もっと早く来ればよかったかな〜なんて思っていたが、着いてみると、夜の12時まで終わらない事が発覚し、もっと遅く来ても良かったかと思いつつ散策。

さて、会場に着いて、チケットを買う。冒頭の写真がチケット。
5万8千ルピア(550円くらい)でたくさんの音楽に触れることができる。今日の目当てはインドネシア人ポップシンガーのトンピと、日本人としては初めてこのイベントに出演するオレンジペコー。これだけでかなりご機嫌。

とても喉が渇いたので、レモンスカッシュと、小腹がすいた気がしたのでフランクフルトを頼んだ。レモンスカッシュを買った店では、自分の前の客がモヒートを頼んでいて、欲しくなってしまったけど、なぜかレモンスカッシュを頼んでしまった。生のレモンと瓶のソーダ水や、モヒートに生のミントを使うなど悪くないクオリティ。フランクフルトも悪くなかった。

各ステージのスケジュール表。

各ステージや配置を一通り見終わった後、おなかが減ったのでポテトとホットドッグを買った。ポテトはかなりうまかったけど、ホットドッグがすげーイマイチな上にさっき食べた悪くないフランクフルトより2、5倍高い。ぼったくりだけど、まあいい。
あと、気になっていたモヒートもさっきの店で買った。注文して作ってもらうと酒を入れなかったので、酒はあるかと尋ねると、酒を入れるなら5万だ、と倍の値段をふっかけて来た。が、瀬に腹は代えられない。インドネシア大学の中で酒を買えるとは思っていなかったし、さっき頼んだレモンスカッシュも悪くなかった上に、生ミントを使ったモヒートを飲みたかったので、割と気持ちよく払った。

フランクフルトを食べていると雨が降って来たので、食べ終わった後もしばらく座っていた。入り口に近いビタミンシーステージでやっている音楽が大音量で聞こえてくる。生のミントの香りとフレッシュレモンの味がきいたモヒートを飲みながら、雨模様の空を眺めて、ジャズを聴いていた。悪くないひととき。

しばらく座っていると雨から避難する客が飲食ブースに押し寄せて来た。7時も近くなりよるご飯の時間でもあったのだと思う。
椅子ひとつ空けたところで押し寄せた大勢が座れるわけでもないけど、雨が小振りになって来たので、少し氷が溶けて薄くなった残りのモヒートを持って、メインステージへ移動した。

目当てのトンピが8時から、その後オレンジペコー10時だったので、場所取りも兼ねて7時からのギグから聴くことにした。

そのギグはかなりハズレで、長髪のぽっちゃりしたおっさんが出て来て、いまいち盛り上がらなかった。途中からゲストで若い女の子が出て来て、おっさんといちゃつきながらデュエット。完全に二人の世界でいちゃつきながら歌ってるので、裏でやれって感じだった。これ絶対控え室でやってるだろみたいな、、、。

観客もかなりしらけたところで、トンピ待ちのMC。協賛メディアの名前をいちいち全部言っていたので、じゃかるた新聞も協賛すれば良かったな、なんて思いつつもし仕事してたらしっかりライブ見れなかったと思うのでこれはこれでありかなとか考えてるうちにトンピ登場。

ざっくり説明すると、トンピはスティービーワンダーを敬愛するポップシンガー。ジャズやソウルのテイストの強いアルバムや、「Soulful Ramadhan2」という宗教色の強いアルバムを出すなど、インドネシアを代表する音楽家。職場に音楽大好きな同僚がいて、彼に一番好きなインドネシア人歌手は誰かと聞いたところ帰って来たのがトンピだったのが、聴くようになったきっかけ。といってもアルバム二枚しか持ってないけど。下の写真中央がトンピ。ハットがトレードマークで常にかぶってる。

はっきり言って、今までのライブの中でも1、2を争うくらい気持ちよかった。
知ってる曲はあまりない。全くよれないリズムを刻むバックバンドに、心地よいメロディーが重なる。
たぶん打ち合わせにはなかったんだろうな、っていうトンピの急なフリにも完全に対応するバック。たぶん長い事一緒にやってるんだろうな〜という年期を感じさせる。完全な勘だからほんとのとこはわかんないけど。ギターもドラムもサックスも、パーカッションもベースも最高。
各楽器を指差して即興させたり、音をきったり、徐々に大きくしたり。指揮者みたいにステージ全体を動き回ってた。
ライブが終わったとき、ライブでのりのりだった気持ちが切れて、それまでの疲労がどっと押し寄せて来た。にもかかわらず、耳が、足が、体全体が幸せだった。心地よい疲労感。あと一曲って言われた時の残念な気持ちはでかかった。

途中、ゲストで9歳の男の子が出て来て、いっしょにプレイしてた。みかけは冴えないメガネのひょろいもやしっこだったけど、ピアノの前に座ると豹変。ソロをふられても他の楽器に負けないクオリティの即興プレイ。一曲で下がっちゃったけど、インパクトはでかかった。

次の次の曲でゲストがもう一人、こちらもさえないおばさんが出て来て、最初は誰だよ感半端じゃなかったけど、ピアノ弾かせるとすごくて、どうやら有名ジャズピアニストだった模様。即興もすごかったけど、他のバックバンドから比べると、息の合い方の点で若干落ちる感じ。童謡みたいな曲を合間に挟むユーモアたっぷりの演出もあったけど、ぼくにはギャグに逃げたような、置きにいった感が感じられて少し不満だった。逆にさっきの9歳の男の子のすごさが感じられた。

次の日に調べて分かった事だけど、トンピはインドネシア大学医学部の卒業生らしいので、母校凱旋ツアーでもあったようだ。歌うまくて楽器できて頭よくて医者ってすごすぎるだろ。

オレンジペコーまで30分くらい空くけど、最前列はしっこという悪くない場所なので動きたくない。足も疲れたし、正直MC何言ってるか分かんないし、ちょっとだるかった。
MCが時間を持て余したのかも仕込みだったのか分からないけど、素人を4人くらいステージに上げていじり倒してた。そのうち一人が日本人だった。観客を映すモニターを眺めていると、友人の紹介からFacebookでやりとりしてるのにいまだに会えてない人がいて、彼女も会場にいたのを発見した。すげーニアミス。

そんなこんなでようやくオレンジペコーの登場。

野外ステージで、ぼんやりと浮かぶ月の下。オレンジペコーのアコースティックを聞くにはもってこいのシチュエーションだ。夜をモチーフにした曲が多くて、ここに彼女ときてふたりで揺れる、、、なんてデートできたら最高だよな、って感じ。ギター一本のアコースティックなので、リズムは揺れ気味だったけどそれも含めた雰囲気は抜群だった。もともと好きだったけどライブに行った事はなかったので、とてもいい機会だった。

あと、個人的な創作活動において、メジャーコードばかり使った曲調がしみついているので、おしゃれなコード多用する曲が多いオレンジペコーを聞き込んだり、参考にしたいな、と思った。

オレンジペコー始まる前に、おわったら12時近くなるしどうやって帰ろうかな、なんて考えてると弊紙記者が取材に登場。これで車に乗せてもらえるラッキーてな感じで心配もなくなった。

オレペコ終わりで記者の取材を待って帰宅。ふたりで、音楽やりたくなって来たなんて話をしながら。
ジャランジャクサという安宿街のバーで、二人で演奏しようという話をしているうちに自宅に到着。就寝。
充実した一日だった。

世界一日本車が愛される国 - 東南アジアにおける日本製造業のゆくえ

 
事務所近くの歩道橋から、夜8時頃のジャカルタ。
バス専用道路にまで乗用車が入り込んで、ひどい渋滞。

 アメリカのミステリー小説家、ジェフリー•ディーバーの小説「ボーン•コレクター」にこんな場面がある。若い刑事が主人公の探偵役に事件を説明する中で、「使われた弾丸の径は三二」と説明し、「ホンダ•アコード並みにありふれた弾ですね」付け加える。小説の舞台はアメリカだが、この事件の舞台がもし現代のインドネシアであれば、この若い刑事は「トヨタ•アバンザ並みにありふれた弾ですね」と付け加えるだろう。そのくらい今のジャカルタは日本車、主にトヨタで溢れ返っている。そこらじゅうで見かける2大タクシー会社のブルーバード社とエクスプレス社もトヨタ車を採用している。

 先日、インドネシア国際モーターショーが、9月20日から30日まで開催された。(その様子を以前エントリにまとめたものが こちら
 世界の名だたる35ブランドが出展し、展示面積も約7万平方メートルと過去最大規模だ。アウディBMW、シボレー、フォード、ジープ、メルセデス、フォルクスワーゲンなどの西欧ブランドから、ジーリーやフォトン等の中国ブランド。勢いのあるインドのタタモーターに、トヨタ、ホンダ、三菱、マツダ、いすず、スバル、スズキ、日産‥。
 名だたる有名ブランドの車が処狭しと並んだ7万平方メートルを見て、改めて事態の異常さを感じた。車にそれほど強い興味を持たない僕ですら知っているブランドが並ぶ中、インドネシア四輪マーケットの中で日本車のシェアが9割を超えているのだ。

 2011年インドネシアの4輪販売台数は89万4000台で、2輪は804万台。運輸省によると2014年には車の道路占有面積が道路の総面積を超え、交通が完全に麻痺すると言われている(もう超えているというデータもあるシンクタンクから上がっているし、実感としても完全に麻痺している)。
 そしてその販売台数の9割以上が日本車なのだから、いかに多くの日本の車が走っているかが分かる。もし仮にトヨタの社長が「いついつまでにトヨタの新車の道路占有面積で道路の総面積を超す」と宣言しても、もはや単なる冗談には聞こえないと言ったら、、、それは極端かもしれない。インドネシアはある側面では日本よりも親日、つまり日本よりも日本車が走っていると言っても言い過ぎではないだろう。特にトヨタ(2012年7月四輪業界シェア37・5%)とホンダ(2012年7月二輪業界シェア57・0%)の影響力は圧倒的だ。

 冒頭の写真は事務所近くの歩道橋から、夜8時頃撮影したもの。写真右上に見えるバスの専用道にまで乗用車が進入し、身動きが取れない状況。毎日がこんな状況というわけではないが、めったにないわけではない。渋滞のひどさを少しでも理解して頂けるだろうか。

 このような背景もあり、昨年と今年はインドネシアに進出する日系企業が爆発的に増えた。その中心となったのが四輪と二輪のメーカーについてでてきた部品製造メーカーだ。インドネシアでの日本メーカー産二輪•四輪の生産台数増⇒大手メーカーの工場増設•新設が呼び水となり、下請けメーカーが雨後のタケノコのように増え、それを補助する商社やサービス業が増えたという形だ。

 日本人としては、「海外で勝負する会社が増えた」と嬉しい気持ちもある。ところが、楽観的に考えられない側面もある。昨年までに進出している企業は、その何年も前から進出を検討して、程度の差こそあれ綿密な準備のもとにインドネシアに来ている。その一方で、インドネシアの好景気が話題に上がるようになってから「日本にいても仕事が無いため、インドネシアでの見込み客も無いのに慌てて出て来た」という会社も少なくない。そして、それらの会社に対して現在は大きく分けて二つの見方がある。

 ひとつは、厳しいけれど、その多くは成功すること無く日本に戻る可能性があるという見方。
 その理由として、現地の部品メーカーの方が圧倒的にコストが低い点が挙げられる。高度な技術が必要とされる四輪の電装部品などはまだしも、それ以外の簡単な部品であれば現地企業でも作れる上に、彼らのほうが圧倒的にコストが低い。「日本人同士で話が通じるし、安心できる」という理由だけで仕事がとれる時代は間もなく終わろうとしている。というかもう既に終わっているのかもしれない。

 ふたつめは、やはり「日本人のものづくり精神は馬鹿にできない」という見方。日本人と日系企業は、東南アジア各国企業と比べるとクオリティコントロールについての意識が高い、という神話は根強い。搭乗者の命を預かる大事な製品である二輪、四輪には、一定以上のクオリティが担保されなくてはならない領域がある。とある工場用ロボットメーカーの方によると、四輪の全ての部品のうち8割、二輪では7割くらいは日系企業に頼むべき領域であると言う。
 例えば、日系企業と韓国企業から焼き入れの仕事を受けている人の話によると「韓国企業の場合、日本メーカーだったらロットごと作り直しレベルの荒さが放置される」という。全てがこの通りなのか定かではないけれど、似たような話はよく耳にする。
 ローカル企業の技術力も上がって来ているとはいえ、一定以上の水準を保たせる場合、結局日系企業に発注する方が安くつく場合が多い、と言う話を聞いた。

 この二つの見方は一見相反するようだが、僕はどちらも正しいと考えている。

 まず、大前提として、「自社の技術がその分野においてどのようなレベル、コストか」「他の地域と比べてどうか」ということを意識する必要がある。それを意識せずに「とりあえず場所を変える」という行動をするのは問題の先送りにすぎず、リスクの高い行為である。しっかりとマーメティングをした上で海外進出であれば、仮にコストで現地企業に負けたとしても、それ以外の付加価値を提供する事で対応することができる。何も考えずに進出してコストで負ければ、得るもの無く撤退することになるのは自然な帰結。蛇足ではあるが、これは企業だけでなく個人レベルでも全く同じ話ができる。これについては以前のエントリを参照して頂きたい。↓
『最近の若者はだらしない』という説教に見るグローバル観の欠如

 ではどのような付加価値を提供できるのか。高水準の製造活動を維持するうえでは、技術があるという事の他に、ものづくりに対する姿勢やこだわり、労働意識が必要不可欠である。東南アジア各国の民族性に顕著な、勤勉とは言いがたい国民性を考えると(もちろん全員とは言えないがやはり多いと言わざるを得ない)、時間になったから帰宅する、休日だから連絡がつかない、ということであればクオリティコントロールの仕事は成り立たない。その意味では、管理責任をしっかり負うことができる日本人はどの生産拠点でも必要となる。
 過労死が横行するほどのコミットを求めるのはやり過ぎだとしても、社員がある一定以上のコミットをしない限り、繊細な品質管理は困難である。その意味では「日本のものづくり精神」はまだまだ捨てたものではなく、他国の生産技術が上がったとしても、日本の製造業はまだまだ見るべきところがある。

 最後に「日本の製造業が捨てたもんではない」という話と「これまでの雇用をそのまま維持できるか」と言う話は全く別。多くの人が安心できるわけではないことを付け加えておく。

 以上、特に新しい指摘があるわけでもないが、ジャカルタの2輪と4輪事情、そこから見える日系企業製造業の行く末をまとめてみた。


※文中データのソースはすべて「じゃかるた新聞」
http://www.jakartashimbun.com/

インドネシア国際モーターショーの盛況っぷり(キャンギャル写真多め) - 展示会というより即売会

モーターショーに行って来た

先日(といってもけっこう前)、インドネシア国際モーターショーが、9月20日から30日まで開催された。世界の名だたる35ブランドが出展し、展示面積も約7万平方メートルと過去最大規模だった。アウディBMW、シボレー、フォード、ジープ、メルセデス、フォルクスワーゲンなどの西欧ブランドから、ジーリーやフォトン等の中国ブランド。勢いのあるインドのタタモーターに、トヨタ、ホンダ、三菱、マツダ、いすず、スバル、スズキ、日産‥。
会期中に二度、初日のメディア向けオープンと最終日に足を運んだが、まず驚いたのはショーというよりかは即売会の様相を呈していた事だった。
(以下キャンギャル写真多数。友人から借り受けたカメラを使っており、慣れないため写真のピントがあってないもの多数。使えない写真も多く、編集して気づいた時の落胆は大きかった。)
以下目次
◆10日間で来場者35万人、成約額366億円
◆展示会というより即売会
◆キャンペーンガールに見るインドネシアの美意識
◆指紋だらけになった車散見される



10日間で来場者35万人、成約額366億円

じゃかるた新聞によると、「9月29日までの段階で、成約額は4兆4千億ルピアに達した。最終集計はまだ発表されていないが、目標の4兆5千億ルピア(約366億円)を超えることは確実となった。入場者数も最終日を残して32万人を超え、昨年実績の1割増に設定した35万人の目標達成もほぼ確定的」だった。



展示会というより即売会

営業スタッフが多く配置されており、獲物を狙う目がめまぐるしく動く。ちょっと車を見ているだけで声をかけられるだけならまだしも、ブースの前を通る来場者に声をかける営業スタッフも多い。池袋や歌舞伎町のキャバクラの呼び込みがフラッシュバックした。
弊紙じゃかるた新聞の広告でもいくつかの会社が広告していたが、会期中は特別なレートのローンを組めたり、会場でもお得感を煽る営業が多い。一般的に、月給の十二倍、つまり年収くらいの値段であれば買うという傾向が強いようだ。現在のびていると言われる中間層(個人的にはインドネシア全体で言えば上流だと思うけど)、月給千ドル以上のマネージャークラスであれば、四輪を買えるようになってきている。



キャンペーンガールに見るインドネシアの美意識

中国のモーターショーは過激な露出で有名だったり、日本のモーターショーでもカメコがはりついたりと、モーターショーと言えばキャンペーンガールがつきもの(ほとんど行った事無いので偏った知識に基づく見解です)。
ムスリム国家だからなのか、そこまで露出は高くない。せいぜい肩を出して、ミニスカートをはくくらい。スカートの下にストッキングはいていたり、そもそも肩も出してない女の子も多かった。胸の谷間を強調するなんてもってのほか、って感じ。
モデルの多くは肌の白い子やチャイニーズ系で、「白い肌=きれい」という美意識が強く現れている。日々ジャカルタで生活していて、この価値観は広く共有されていると感じている。個人的には褐色の肌の女性はとてもきれいだと思うので、もっと広く認められてもいいのにな、、、と常々思っている。

よく見るとブースによってモデルの質が違った。何人かのモデルに日給を尋ねると、各社まちまちだった(ちなみにけっこうレベル高い子でも平均一日4、5千円)。代理店が抜いてるだけなのか、展示会にかけてるコストが違うのか真偽のほどは定かではないが、この展示会にかける意気込みやお金も各社まちまちなのかもしれない。ちなみにトヨタブースはレベル高かったと思う。ぼくの好みだっただけかもしれないので、全く責任は取れませんが。




指紋だらけになった車散見される

観客のマナーがなっていないのか、多くの車に手あかや指紋がめちゃめちゃたくさんついていて、それを拭く係の人が多くのブースにもいた。これは他国のモーターショーでもよくあることなのだろうか。
実は恥ずかしながらモーターショーなるものに参加したのはインドネシアが初めてなので、比べるすべが無い。インドネシアは子どもをばかかわいがりして、しつけをあまりしない傾向がある気がするので、これは近々エントリにまとめようと思っている。


以上、モーターショー参戦日記でした。
どの子が好みだ、とかでもコメントもらえれば嬉しいです。